思い出のウェディング
最近、うちの店はウェディングに力を入れている。
勝手に私が力を入れていると思っているだけで
まだ私が力を入れている事を世間に知らせていない為
口コミで知ってくださったお客様が来店くださるのみだが
ありがたい事に確実にウェディングのご注文は増えつつある。
・・・で、色々なカップルが来店くださり
最近のウェディング事情をお聞きするにつれ
自分のいいかげんだった披露宴の事が思い出され
もう一度やり直したいような、もうどうでもいいような複雑な心境になった。
---- そもそも、私たち夫婦にはプロポーズの言葉もなければ感動秘話もない。
どういう訳かわからないが気づいたら結婚する事になっていた。
もうそろそろ結婚しようかな・・・とお互いに思っただけである。
自分たちで勝手に日取りを決め
家から歩いて行けるからという安易な理由で近所の式場を予約。
両家の親には事後承諾で「この日に結婚式やります」と報告。
当時、旦那と私は仕事の休日が合わなかったので
下見や打ち合わせもほとんどないままに時間が経過した。
新居も私が一人で探したものだ・・・
結婚の1ヶ月前頃、私が退職してからようやくバタバタと
式の準備を始め一週間前には写真の前撮りをした。
旦那は私の青いスパンコールでできたカクテルドレスを見て
「うわっ!すげ~青光りするな~!鯖かと思った!」
と、非常に憎たらしい事を言っていた。
旦那の白いタキシードだって演歌歌手みたいだったが
言うと機嫌が悪くなるので黙っておいた。
--- いよいよ式当日の朝、すっぴんでジーパンの私は
風呂敷を下げてホントに徒歩で式場入りした。
式は神前式で巫女さんに誘導されて式場に入るのだが
旦那は相変わらず自分ひとりでスタスタと歩いて行ってしまい
巫女さんから「新婦を置いていかないでください!」と注意を受けていた・・・。
その後の披露宴は滞りなく順調に進み、
いよいよ最後の万歳三唱である。
旦那にはあれほど
「自分たちは万歳しないでお辞儀するんだよ!」
と言っておいたのに
横を見ると赤ら顔の酔っ払いがご機嫌で万歳をしていた・・・。
私の視線に気付いた旦那は「あ、やべ~!」とつぶやき
ぺこりと頭を下げたのだが
顔を上げた旦那を見て驚愕した!
凄い勢いで鼻血が出ていたのだ・・・
真っ白なタキシードを真っ赤に染めた旦那は
衣装さんに取り囲まれ濡れたお絞りでタキシードをトントンされていた・・・
旦那の鼻血も治まり、
私たちはみんなの作ったアーチをくぐって退場することになった。
私は前述の鯖のスパンコールドレスである。
このドレスはかなり身体のラインにぴったりしたものだった。
妙に低いアーチをくぐるため思いっきり身を屈めねばならず
しかも11センチのハイヒールを履いていたため
凄くふらつきながらよたよたと進行した。
真ん中あたりでさらにアーチが低くなっており
くぐる為にほぼ直角に腰を屈めたのだが
その瞬間、ベリっという不吉な音がして周りのみんなが騒ぎ始めた。
「や、破れたんじゃない?」
という従姉妹や友達の声がした。
「え?」と思っていると
瞬く間に衣装さんに隅に連れて行かれついたての裏で破れた箇所を繕われた・・・
どうやらファスナーの縫い目が裂けたようである。
それにしても衣装さんの素早い対応には感動した。
そんなこんなで、衣装さん泣かせの私たちの披露宴は
赤っ恥をかきながら無事(?)終了した。
ドレスを脱いで朝来た時のジーパンに着替えロビーに下りると
華やかな振袖姿の友達が集まって談笑していた。
近づいても誰も気付かない。
「今日はありがとう!」と大声で言うと
みんな一様に驚き
「なんでそんな格好なの?」と言われた。
なんでと言われてもいつまでもスパンコールで歩くわけにはいかないのだ。
風呂敷を抱えているのを見て
「大女優と付き人みたい!」と一人が言い出しみんな爆笑していた。
大女優とは私の前を歩いていた母である。
独身時代にホントに女優をしていた母は
留袖姿で優雅に歩き、完全に私より目立っていた・・・。
後日、弟に任せておいたビデオを再生してみると
巫女さんだの私の会社の同僚だの女友達だのしか映っておらず
主役の私の姿はどこにもない!
弟に文句を言うと
「自分の見たいものだけを撮った」と
まるで大物カメラマンのような事を言っていた・・・。
bloomへようこそ
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