インフルエンザ緊急対策委員会
数年前、我が家はインフルエンザウィルスに3人が感染し
かなり深刻な状況に陥った。
長男、次男、そして私が次々と感染し高熱にうなされる日々が続いたのだ。
こんなに家中にウィルスが蔓延しているというのに
ただひとり能天気な健康体がいた・・・
我々が体の節々の痛みや熱と戦っている最中
ひとりお笑い番組を見てのん気に笑い
「お前らとは鍛え方が違うんや。俺は絶対に感染しないからな。」
と、憎たらしい事を言い放ち
「やっぱ俺は凄いなあ、予防注射もしてないのに感染しないんだからなあ。ははは・・・」
と、自分のインフルエンザに対する抗体の強さに大満足していた。
---- ところが一昨年、ゴルフコンペに出掛けた旦那が高熱で倒れ
病院でインフルエンザの診断を受けて帰ってくるという事件が起きたのだ。
そして、あろうことかこんな勝手な事を言い出した。
「病院で、家族に感染するのは避けられないと思うって言われたからな・・・」
この言葉を受け、高熱でふらふらしている旦那を2階の寝室に追いやり
「感染しません絶対に!」というスローガンの元
3人で結束して断固としてウィルスに感染しない為の対策を練った。
名づけて「インフルエンザ緊急対策委員会」の発足である。
その間にも旦那は
「汗をかいたから着替えさせろ」だの
「喉が渇いたからポカリスエットをもって来い」だの
ひっきりなしに色んな要求をしてきた。
私はサーズウィルスも99.9%カットするという医療用のマスクを装着し
患者の寝る2階の寝室へ向かった。
ポカリスエットのペットボトル、タオル、着替え、熱ピタシート、体温計、携帯電話をベットサイドに並べ
「トイレ以外はこの部屋から出ないでください。」
「トイレに行く時はこのマスクを必ず付けてください。」
「用事のあるときは携帯に電話してください。」
それだけの事を息を吸わないように早口で言い急いで部屋の外に出た。
部屋の中からは「鬼だ・・・この家には鬼がいる・・・」という
弱弱しいつぶやき声が聞こえたが無視せざるをえない。
子供達を守る為だ。仕方がない・・・
それから毎日、朝昼晩のご飯と3時のおやつだけはきっちり届け続けた。
もちろんサーズ対策マスク着用である。
1日に2回は寒がる旦那を尻目に寝室の窓を全開にして換気もかかさない・・・
すべて子供を守る為だ。心を鬼にした。
3日目になると熱も下がり体力もだいぶ回復した旦那は退屈しはじめたようだった。
「俺、もう下でご飯食べてもいいんじゃない?」
「治りかけが一番感染しやすいんだから絶対だめ!」
「・・・・・・。」
こんな会話が一日何度も繰り広げられたが旦那と会話していたのは私だけだったため
子供達はだんだん旦那が2階に寝ている事を忘れ始めていた。
作戦実行4日目に、学校から帰宅した次男が
「パパ最近帰ってきてないね・・・」と言った時には驚いた。
------- 完全に家族の記憶から消えかかってきた頃の事だ。
もうウィルス感染の危険もなくなったと判断し、
久しぶりに1階での夕食を許可した。
すると旦那はまるで半年ぶりに海外出張から帰った人のようによくしゃべり
なぜか得意げで威張っていた・・・。
旦那がまた2階の隔離病棟へ戻った後
私たちは作戦成功を讃えあい、感染しなかった事を喜び合ったものだ。
こうして無事1人の感染者も出さず我が家のインフルエンザ緊急対策委員会は解散した・・・。
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